1910年
2024年03月13日
Cradle Song
Tears must fall,
Eyes must weep!
While my song I sing,
Little one, Sleep!
You and I are all alone,
I have only you,
Father’s love you never have known,
Mother must love for two.
Father heard his country’s call,
Heard the stern command:
Soldiers brave must fight and fall
For their native land.
They must leave their loved ones all
In the Saviour’s hand.
Sleep, darling sleep!
Father lies upon the plain
He is sleeping too.
Mother’s heart must bear the pain,
Heaven has sent her YOU.
Over your bed a snow-white dove
Watches the long night through,
Brought me a message of hope and love
From the starry blue,
That some day in heaven above
He will meet us two.
Eyes must weep
While my song I sing,
Little one rest and sleep.
「子守唄」
涙がこぼれそうで
この目は泣いてしまうなら
私が歌を聞かせてあげるから
小さな坊や、おやすみよ
お前と私は二人きり
私にいるのはお前だけ
父さんの愛をお前は知らないから
母さんが二人分、愛してあげる
父さんは国の呼び声に応えたから
厳しい使命を受けたのだから
勇ましい兵士は戦いそして倒れるんだ
生まれた国のために
みんな愛する人たちを残して
救い主さまの手の中に行くのだよ
おやすみ、いい子ねおやすみよ
父さんも草原に横たわり
眠っているんだよ
母さんの心は悲しみに耐えるしかないから
天はお前を授けてくれたのだね
お前の寝床には雪のように白い鳩が止まり
夜中ずっとお前のことを見守ってくれるよ
私には愛と希望の便りを運んでくれたんだ
星で一杯の空からね
いつかお空の天国で
二人とも父さんと会えるんだよ
この目は泣いてしまうなら
私が歌を聞かせてあげるから
かわいい坊や、ゆっくりおやすみよ
「古い歌(The Old Refrain)」(http://yogaku-manyoshu.blog.jp/archives/23541857.html)と同様、既存の楽曲にアリス・マチュラス(Alice Mattullath、1895~1952年)が英語歌詞を付けたものです。メロディはフリッツ・クライスラー(Fritz Kreisler、1875~1962年)の1910年の楽曲「ヴィーン奇想曲(Caprice Viennois)」のもの。「古い歌」もクライスラーの楽曲と考えられていたので、1915年には「フリッツ・クライスラーによる二つの楽曲(Two Songs by Fritz Kreisler)」として出版されていました。1916年にジョン・マコーマック(John McCormack、1884~1945年)が歌い、ビルボードのヒットチャートで三位を記録しています。
stern:厳しい。
command:指令。
Saviour:救い主。
starry:星の多い。
2023年10月30日
Chinatown, My Chinatown
Now ladies and gentlemen, we have a little novelty here for you here this evening. We’ll have a little argument between the saxophone and the trumpet. ’Cause these cats just told me, “They’re going to get away!” And, uh, the little trumpet just said, “It’s going to do the same.” Ain’t that right little trumpet? Say “Yes, sir!” Oh, that little devil. But before we, uh, riff we’re going to chirp a few for you this time. So get your chops together boys, while we mug slightly, lightly and politely.
Chinatown, my Chinatown
Where the lights are low
Oh, my Chinatown
Chinatown…
Oh, you rougher, you!
Chinatown… Oh, my Chinatown
Look out there saxophone. What’s the matter with you? Let's go!
Look at them cats getting away. Looks like they’re after me. Look at that you all.
But I’m ready, I’m ready, so help me! I’m ready, look out here!
「チャイナタウン、私のチャイナタウン」
さて紳士淑女のみなさま、今宵はここで、少しばかり変わった趣向でお見せしましょう。サクソフォンとトランペットが軽くやり合うんですよ。こんなこと言うもんでね。「あいつら、ズラかるつもりだぜ」そしたら、まあ、トランペット君だってちょっとは言うんだ「そっちこそ、そうするんだろ」そうだろ、トランペット君。「そうだよ」だってさ。おいおい、小悪党め。けど、こちらが、ええと、リフをやる前に、今度はちょっと歌って見せましょう。じゃあ、口の形をそろえるんだ、みんな、演奏してる間は、軽やかに、朗らかに、穏やかにな。
チャイナタウン、私のチャイナタウン
明かりがほんのり灯るところ
ああ、私のチャイナタウン
チャイナタウン……
おい、荒っぽいなあ。
チャイナタウン……ああ、私のチャイナタウン
見てなよ、サクソフォン。一体、どうしたんだい。やってみな。
奴らが走ってくのを見ろよ。俺を追いかけてるみたいじゃないか。みんな、見てくれよ。
けど準備はいいぜ、準備できてるから、助けてくれよ。準備はいいぜ、見ててくれ。
ウィリアム・ジェローム(William Jerome、1865~1932年)作詞、ハンガリー生まれのジーン・シュウォーツ(Jean Schwartz、1878~1956年)作曲による、1910年の楽曲「チャイナタウン、私のチャイナタウン(Chinatown, My Chinatown)」(http://yogaku-manyoshu.blog.jp/archives/21981186.html)を、1932年のルイス・アームストロング(Louis Armstrong、1901~1971年)に録音した際の歌詞です。ビルボードのヒットチャートで五位を記録しています。
novelty:珍奇なもの。
riff:(ジャズの)リフ、ソロ演奏。
chirp:かん高い声で話す。
chop:(トランペットなどの奏者の)口の形、アンブシュア。
mug:大袈裟な表情で演技する。
2023年10月29日
Chinatown, My Chinatown
When the town is fast asleep,
And it’s midnight in the sky,
That’s the time the festive Chink
Starts to wink his other eye,
Starts to wink his dreamy eye,
Lazily you’ll hear him sigh.
Chinatown, my Chinatown,
Where the lights are low,
Hearts that know no other land,
Drifting to and fro,
Dreamy, dreamy Chinatown,
Almond eyes of brown,
Hearts seems light and life seems bright
In dreamy Chinatown.
Chinatown, my Chinatown,
Where the lights are low,
Hearts that know no other land,
Drifting to and fro,
Dreamy, dreamy Chinatown,
Almond eyes of brown,
Hearts seems light and life seems bright
In dreamy Chinatown.
Stranger taking in the sights,
Pigtails flying here and there;
See that broken Wall Street sport
Still thinks he’s a millionaire,
Still thinks he’s a millionaire,
Pipe dreams banish ev’ry care.
Chinatown, my Chinatown,
Where the lights are low,
Hearts that know no other land,
Drifting to and fro,
Dreamy, dreamy Chinatown,
Almond eyes of brown,
Hearts seems light and life seems bright
In dreamy Chinatown.
Chinatown, my Chinatown,
Where the lights are low,
Hearts that know no other land,
Drifting to and fro,
Dreamy, dreamy Chinatown,
Almond eyes of brown,
Hearts seems light and life seems bright
In dreamy Chinatown.
「チャイナタウン、私のチャイナタウン」
町がぐっすりと眠る頃に
空も真夜中を迎える頃に
そんな時に祭り好きの中国人は
片目をつぶって目配せするのさ
夢見る瞳で目配せするのさ
けだるく吐息を漏らす声が聞こえてくるよ
チャイナタウン、私のチャイナタウン
明かりがほんのり灯るところ
心の中に他の場所はないのさ
行きつ戻りつさまよっても
夢のような、夢のようなチャイナタウン
褐色のアーモンドのような目に
心は軽く、人生は明るく
夢のようなチャイナタウン
チャイナタウン、私のチャイナタウン
明かりがほんのり灯るところ
心の中に他の場所はないのさ
行きつ戻りつさまよっても
夢のような、夢のようなチャイナタウン
褐色のアーモンドのような目に
心は軽く、人生は明るく
夢のようなチャイナタウン
よその人が観光に来るよ
弁髪があちらこちらと跳ね回る
ほら破産したウォール街の遊び人が
今も自分が百万長者のつもりでいるんだ
今も自分が百万長者のつもりでいるんだ
きせるの見せる夢が不安を消し去るからね
チャイナタウン、私のチャイナタウン
明かりがほんのり灯るところ
心の中に他の場所はないのさ
行きつ戻りつさまよっても
夢のような、夢のようなチャイナタウン
褐色のアーモンドのような目に
心は軽く、人生は明るく
夢のようなチャイナタウン
チャイナタウン、私のチャイナタウン
明かりがほんのり灯るところ
心の中に他の場所はないのさ
行きつ戻りつさまよっても
夢のような、夢のようなチャイナタウン
褐色のアーモンドのような目に
心は軽く、人生は明るく
夢のようなチャイナタウン
ウィリアム・ジェローム(William Jerome、1865~1932年)作詞、ハンガリー生まれのジーン・シュウォーツ(Jean Schwartz、1878~1956年)作曲による、1910年出版の楽曲です。1910年初演のミュージカル「ブロードウェイのあちこちで(Up and Down Broadway)」の劇中歌で、当時はそれほど人気が出ませんでしたが、1915年にさまざまな録音が出てくるとヒット曲となり、ジャズのスタンダードナンバーの一つとなりました。
ビルボードのヒットチャートでは、1915年にアメリカン・カルテット(The American Quartet)のものが一位、グレイス・カーンズ(Grace Kerns、1879~1936年)とジョン・バーンズ・ウェルズ(John Barnes Wells、1880~1935年)のデュエットが二位、チャールズ・A・プリンス(Charles A. Prince、1869~1937年)の楽団による演奏が八位を、1932年のルイス・アームストロング(Louis Armstrong、1901~1971年)のものが五位を、ミルズ・ブラザーズ(The Mills Brothers)のものが十位を、1935年のレイ・ノーブル(Ray Noble、1903~1978年)の楽団のものが14位を記録しています。
festive:祭りの。
Chink:中国人。
Pigtails:弁髪。
broken:破産した。
Wall Street:ニューヨークの株式取引所の所在地。
sport:遊び人。
アメリカン・カルテットの歌唱
グレイス・カーンズとジョン・バーンズ・ウェルズの歌唱
チャールズ・A・プリンスの楽団の演奏
ミルズ・ブラザーズの歌唱
レイ・ノーブルの楽団の演奏
2023年07月14日
Come On Over Here
ROSA.
I know that you men are deceivers,
Us poor girls you lure and betray,
of shares for our love you are weavers,
You think breaking hearts only play,
MARQUIS.
That’s true, but I’m not like the rest dear,
I could not deceive if I tried,
Rovers are a race I detest dear,
In me you may trust and confide,
ROSA.
You’re a dang’rous man I know,
MAR.
Something tells me I must go.
ROSA.
No!
Come on over here!
Here’s a seat my dear,
Come and join the party,
Get a welcome hearty,
Don’t be bashful dear,
You need have no fear,
Welcome stranger
There’s no danger,
While you’re over here
MAR.
You’ll find I don’t mean any harm,
If ’round your waist I place my arm,
ROSA.
That’s just what I thought you’d do
and now it comes true, oh, shame on you!
MAR.
But you admit you feel no pain,
Observe I’ll try it once again,
ROSA.
I fear you won’t stop at this
you’re going to steal a
Come on over here!
MARQUIS.
You want me over here!
ROSA.
Like to have you near,
MARQUIS.
Well not that I’m aware
ROSA.
Come and join my party,
Get a welcome hearty,
Don’t be bashful, dear,
MARQUIS.
Oh! I’m not feeling “bash!”
ROSA.
You need to have no fear;
MARQUIS.
I’ll whisper words of ‘pash,’
ROSA.
gentle stranger
MARQUIS.
lovely stranger
ROSA.
I’m in danger
MARQUIS.
There’s no danger
BOTH.
While you’re over here!
「こちらへ来てくださらない」
ローザ:
そうね、あなたとか男の人ってペテン師じゃない
かわいそうな女の子を誘惑しては裏切って
私たちから愛を奪って繰り広げていくのね
人の心を傷つけても、ただの遊びだなんて思ってるんでしょ
侯爵:
たしかに、けれど私は他の男とは違うんですよ
たぶらかすなんて、やろうとしても無理
浮気者なんて奴らは大嫌いですから
私のことは信用して信頼していいんですよ
ローザ:
あなたって、きっと危ない人ね
侯爵:
何だか、もう行った方がよさそうですね
ローザ:
だめ
こちらに来てくださらない
ここに座る場所がありますよ
来て友達の輪に加わって
心から歓迎しますから
恥ずかしがらないでね
怖がらなくてもいいですよ
ようこそ、お客さま
怖いことないですよ
こちらに来たからってね
侯爵:
私が害を与えないと分かってくださいましたね
あなたの腰に私が腕を回しても
ローザ:
きっと、そうするのではと思っていましたよ
やっぱりそうでした、もう、恥を知りなさい
侯爵:
ですが嫌じゃないと、お認めでしょう
どうでしょう、もう一度させてください
ローザ:
ここで、あなたが止まるのか不安なのです
あなたはこっそりしようとしてませんか、あの
こちらに来てくださらない
侯爵:
そちらに来て欲しいのですね
ローザ:
そばにいて欲しいのです
侯爵:
いや、気づきませんでしたよ
ローザ:
来て友達の輪に加わって
心から歓迎しますから
恥ずかしがらないでね
侯爵:
いや、私は「恥」などありません
ローザ:
怖がらなくてもいいですよ
侯爵:
耳もとに「心のこもった」言葉をささやきましょう
ローザ:
お優しいお客さま
侯爵:
愛すべきお客さま
ローザ:
私は危ういのね
侯爵:
危なくなんかないですよ
二人:
あなたがこちらに来たから
1910年に初演されたレオ・ファル(Leo Fall、1873~1925年)作曲のオペレッタ「少女人形(Das Puppenmädel)」を、1913年に英訳して上演したミュージカル「少女人形(The Doll Girl)」の劇中歌です。オペレッタの台本と歌詞はレオ・シュタイン(Leo Stein、1861~1921年)とアルフレート・マリア・ヴィルナー(Alfred Maria Willner、1859~1929年)によるもの。英語版はハリー・B・スミス(Harry B. Smith、1860~1936年)とジェローム・カーン(Jerome Kern、1885~1945年)が台本と歌詞を担当しています。この楽曲はオペレッタにはなく、英語上演の際に追加されたもので、作曲はドイツの作曲家ヴァルター・コロ(Walter Kollo、1878~1940年)が行なっています。ヘレン・クラーク(Helen Clark、生没年未詳)とビリー・マレイ(Billy Murray、1877~1954年)のデュエットしている録音が、1913年のビルボードのヒットチャートでは十位を記録しました。
deceivers:だます人。
lure:魅惑する。
betray:裏切る。
weavers:職工。
MARQUIS:侯爵。
Rovers:遊び人。
detest:憎む。
confide:信用する。
hearty:心からの。
bashful:恥ずかしがって。
Observe:観察する。
pash:熱狂、心酔。
2023年06月07日
Foggy Dew
A-down the hill I went one morn,
A lovely maid I spied,
Her hair was bright as the dew that wets
Sweet Anner’s verdant side;
“And where go ye, sweet maid?” said I,
She raised her eyes of blue,
And smiled and said, “The boy I wed
I’m to meet in the foggy dew.”
Go hide yer blooms, ye roses red,
And droop, ye lilies rare,
Or you must pale for very shame
Before a maid so fair.
Said I, “Dear maid, will you be my bride?”
Beneath her eyes of blue
She smiled and said, “The boy I wed
I’m to meet in the foggy dew.”
A-down the hill I went at morn,
A-singing I did go,
A-down the hill I went at morn,
She answer’d soft and low:
“Yes, I will be your own dear bride,
And I know that you’ll be true!”
Then sighed in my arms, and all her charms
Were hidden in the foggy dew.
「かすみの露」
丘を下って、ある朝、私は歩いて
美しい乙女を見かけたのだ
その髪はきらめく、朝露に濡れて
麗しいアナー川の新緑の岸辺で
「どこへ行くのです、きれいなお嬢さん」私は声をかけた
その人は青い目を上げると
それから微笑んで、こう言った「私の結婚相手と
会うことになっているのです、かすみの露の中で」
鼻を隠しなさい、そのバラは赤く
顔を下げて、そのユリは類まれなもの
そうしないと顔が色を失うでしょう
こんなにも美しい乙女を前にすれば
私は言った「お嬢さん、私の花嫁になってくれないか」
その青い目を伏せて
その人は微笑んで、こう言った「私の結婚相手と
会うことになっているのです、かすみの露の中で」
丘を下って、ある朝、私は歩いて
歌いながら進んで行った
丘を下って、ある朝、私は歩いて
あの人は抑えた小さな声で答えてくれた
「はい、私はあなたのお嫁さんになりましょう
あなたはきっと裏切らないと信じているから」
それで私の腕の中で深く息をした、あの人の魅力は残らず
隠されて行った、かすみの露の中へと
アイルランドの作曲家でフォークソングの収集者でもあったシャーロット・ミリガン・フォックス(Charlotte Milligan Fox、1864~1916年)の編纂したアイルランド民謡の旋律に、E・ミリガン(E. Milligan、生没年未詳)が歌詞を付けたものです。1910年に出版された「アイルランドのハープ奏者の歌集(Songs of the Irish harpers)」に収録されています。1913年にジョン・マコーマック(John McCormack、1884~1945年)が録音を残しました。
この歌の旋律は19世紀に成立したアイルランド民謡「モーロック湖畔の乙女(The Maid Of The Moorlough Shore)」とほとんど同じものです。また1916年にアイルランドで「イースター蜂起」が起こった際に、その内容に合わせた歌詞が作られ、現在ではもっぱら「かすみの露(Foggy Dew)」は蜂起に対する反戦歌として知られています。
morn:朝。
spy:目にする。
Anner:アイルランドのティペラリーを流れる川。
verdant:新緑の。