Jere Mahoney

2020年04月25日

For Old Time’s Sake

You ask me why upon my breast
I wear her photograph,
You ask me why my hair has turned to gray,
I was a simple country lad,
She was the village belle,
I worshipped her, my queen, both night and day;
A city stranger wooed and won
My very first and only love,
He won her, just her gentle heart to break;
He left her many years ago,
I found it out by chance,
And I searched for her,
For old time’s sake.

For old time’s sake I told her that I loved her,
For old time’s sake I pressed her to my heart;
For old time’s sake I kissed her and caressed her,
And promised her we never more would part;
For old time’s sake she put her arms around me,
And said, “If but a dream, I would not wake;
I never knew till now how much I love you.”
Then I kissed her just For old time’s sake.

The story now is at an end,
There’s nothing much to say,
Except I asked her if she’d be my wife,
Her tears were softly flowing as
She looked at me and said;
“I’d bring you nothing but a wasted life;
I was a vain and foolish girl,
When I refused your honest love,
It’s now too late, no wife for you I’d make;
Just hold me in your arms,” she said,
And then she passed away,
And I buried her,
For old time’s sake.

For old time’s sake I told her that I loved her,
For old time’s sake I pressed her to my heart;
For old time’s sake I kissed her and caressed her,
And promised her we never more would part;
For old time’s sake she put her arms around me,
And said, “If but a dream, I would not wake;
I never knew till now how much I love you.”
Then I kissed her just For old time’s sake.

「遠い昔に」

訊きたいかね、なぜ私がこの胸に
あの人の写真を抱いているのか
訊きたいかね、なぜ私の髪が白くなってしまったのか
私はただの田舎者で
あの人は村一番の美女
私はあの人を女王のように崇めていたよ、夜となく昼となく
なのに都会から来たよそ者が言い寄って掠め取ったのだ
私の最初で最後の真実の愛を
自分のものにすると、そいつはあの人の優しい心を引き裂いたのだ
何年も前に、そいつがあの人を捨てていったと
たまたま私は知ることになった
それで私はあの人を探し出したのだ
もうそれも遠い昔のこと

遠い昔に、私は愛していると、あの人に伝え
遠い昔に、私はこの胸に、あの人を抱き寄せ
遠い昔に、私は口付けて、あの人を愛撫して
二人は離れ離れにならないと誓ったのだ
遠い昔に、あの人はその腕を、私に回して
こう告げたのだ「もしこれが夢なら、目覚めたくない
今まで気付かなかった、どんなにあなたを愛しているか」
それで私はあの人に口付けたのだ、遠い昔に

この話はこれで終わり
もう語るべきことも多くはない
あの人に妻になってくれるよう、私が言ったことの他は
あの人は涙を頰に伝わせながら
私を見て、こう言ったのだ
「私がいても、あなたに人生を無駄にさせてしまうだけ
私は空っぽで愚かな女だった
あなたの心からの愛を退けてしまったのだから
もう手遅れで、あなたの奥様にはなれないけれど
今は腕の中に抱いていて欲しい」これだけ言うと
あの人は死んでしまい
私はあの人を葬ったのだ
遠い昔に

遠い昔に、私は愛していると、あの人に伝え
遠い昔に、私はこの胸に、あの人を抱き寄せ
遠い昔に、私は口付けて、あの人を愛撫して
二人は離れ離れにならないと誓ったのだ
遠い昔に、あの人はその腕を、私に回して
こう告げたのだ「もしこれが夢なら、目覚めたくない
今まで気付かなかった、どんなにあなたを愛しているか」
それで私はあの人に口付けたのだ、遠い昔に

 チャールズ・K・ハリス(Charles K. Harris、1867~1930年)が1900年に書いた所謂「お涙頂戴もの(the tear jerkers)」の一品。1902年にジェリ・マホニー(Jere Mahoney)の歌ったものがビルボードのヒットチャートで四位を記録しています。

my hair has turned to gray:頭に白髪が生える。
For old time’s sake:遠い昔に。

 



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hanmyo at 09:17|PermalinkComments(0)

2019年11月27日

A Bird in a Gilded Cage

The ballroom was filled with fashion's throng,
It shone with a thousand lights,
And there was a woman who passed along,
The fairest of all the sights,
A girl to her lover then softly sighed,
There's riches at her command;
But she married for wealth, not for love, he cried,
Though she lives in a mansion grand.

She's only a bird in a gilded cage,
A beautiful sight to see,
You may think she's happy and free from care,
She's not, though she seems to be,
'Tis sad when you think of her wasted life,
For youth cannot mate with age,
And her beauty was sold,
For an old man's gold,
She's a bird in a gilded cage.

I stood in a churchyard just at eve',
When sunset adorned the west,
And looked at the people who'd come to grieve,
For loved ones now laid at rest,
A tall marble monument marked the grave,
Of one who'd been fashion's queen,
And I thought she is happier here at rest,
Than to have people say when seen,

She's only a bird in a gilded cage,
A beautiful sight to see,
You may think she's happy and free from care,
She's not, though she seems to be,
'Tis sad when you think of her wasted life,
For youth cannot mate with age,
And her beauty was sold,
For an old man's gold,
She's a bird in a gilded cage.

「金の籠の小鳥」 

舞踏室には社交界の名士たちが溢れて
一千の明かりに照らされ輝いていた
その中でも、そぞろ歩きする婦人の一人が
美しさを極めて、一際、人目を引いていた
その人は愛する人を見かけて、そっとため息をついた
溢れる富を、意のままにすることができたのに
あの人は愛を捨てて、富に嫁いだのだ、と恋人は嘆いた
たとえ瀟洒な大邸宅に住んでいようと何なのだと

あの人は金の籠に閉じ込められたただの小鳥
美しく人目を引く飾りもの
幸せで悩みもないと、人は思うだろうけれど
本当はそうじゃない、そう見えるかもしれないけど
虚しく過ごした人生を思えば悲しくなる
若さとは年月と相容れないものだから
あの人の美しさは買われたのだ
大金で年老いた男に
あの人は金の籠に閉じ込められた小鳥

今宵、私は教会の敷地に立っていた
西空を日没が彩る頃に
弔意を示そうと集う人々を眺めていた
皆の愛した人は安らかに眠る
背の高い大理石の碑が、ここを墓所だと告げていた
かつて社交界の花形であったあの人の
だけど、ここで眠る方が幸せではないかと思えた
見る人に、こう噂され続けるよりは

あの人は金の籠に閉じ込められたただの小鳥
美しく人目を引く飾りもの
幸せで悩みもないと、人は思うだろうけれど
本当はそうじゃない、そう見えるかもしれないけど
虚しく過ごした人生を思えば悲しくなる
若さとは年月と相容れないものだから
あの人の美しさは買われたのだ
大金で年老いた男に
あの人は金の籠に閉じ込められた小鳥

 英国出身の作詞家アーサー・J・ラム(Arthur J. Lamb、1870~1928年)が自作の詩を、アメリカの作曲家ハリー・ヴォン・ティルザー(Harry Von Tilzer、1872~1946年)のところに持ち込み、ティルザーが曲を付けたもの。裕福な暮らしのために愛する男を捨てた女性の悲哀を歌ったもので、当時、譜面が百万部を越すほどの大ヒットとなりました。曲を作るに当たりティルザーは、原詩では愛人であった主人公の立場を婚姻に書き直すよう求めたそうです。
 1900年にはビルボードのヒットチャートでエジソン・カルテットのオリジナルメンバーだったジェリ・マホニー(Jere Mahoney)の歌ったものとアメリカの歌手スティーヴ・ポーター(Steve Porter、1864~1946年)のものが一位になっている他、ジェリ・マホニーと入れ替わりにエジソン・カルテットに加わったハリー・マクドナフ(Harry Macdonough、1871~1931年)のものが二位を記録し、英国ラジオ局BBCのディスクジョッキー、ジョン・ピール(John Peel、1939~2004年)が1900年から2000年のそれぞれの年を代表する曲を紹介した音楽番組「ピレニアム(Peelennium)」では1903年にハミルトン・ヒル(Hamilton Hill)の歌ったものを選択しています。
 所謂、お涙頂戴もののセンチメンタルなバラードで、作曲したヴォン・ティルザーは大衆酒場のピアノで、この曲のメロディーを弾いている時に、客の女たちが泣きそうになっているのを見て、この曲のヒットを確信したそうです。

fashion's throng:社交界の人々、身分の高い人の集まりです。
gilded:金メッキの、金ピカの。

Jere Mahoneyの歌唱



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hanmyo at 22:17|PermalinkComments(0)
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