Nellie Melba

2023年06月06日

Mandoline

Les donneurs de sérénades
Et les belles écouteuses
Échangent des propos fades
Sous les ramures chanteuses.

C’est Tircis et c’est Aminte,
Et c’est l’éternel Clitandre,
Et c’est Damis qui pour mainte
Cruelle fait maint vers tendre.

Leurs courtes vestes de soie,
Leurs longues robes à queues,
Leur élégance, leur joie
Et leurs molles ombres bleues

Tourbillonnent dans l’extase
D’une lune rose et grise,
Et la mandoline jase
Parmi les frissons de brise.

La…

「マンドリン」

セレナーデの歌い手がいて
麗しい聞き手がいて
たわいない言葉を交わすのは
歌いかける枝葉の下で

そこにはティルシスが、そこにはアマンテが
そこには心変わりしないクリタンドレが
そこにはダミスが、あまりに多くの
つれない仕打ちに、数多の歌を紡ぎ出す

男には短い絹の上着を
女には長く裾を引く衣を
みな優雅で、みな楽しげで
みな淡い薄暗がりとなる

めくるめく恍惚のうち
月はバラ色と灰色に染まり
マンドリンが鳴り渡る
そよ風がそよぐ中で

ラ…

 フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine、1844〜1896年)の1869年出版の詩集「みやびな宴(Fêtes galantes)」の中の一遍に、フランスの作曲家クロード・ドビュッシー(Claude Debussy、1862~1918年)が曲を付けた、1882年出版の楽曲です。ヴェルレーヌの詩はフランスの画家アントワン・ワトー(Antoine Watteau、1684~1721年)が1715年に描いた絵画「ある視点(La Perspective)」を元に書かれたものと言われています。ネリー・メルバ(Nellie Melba、1861~1931年)が1913年に録音を残しています。

donneurs:与える人。
sérénades:小夜曲。思慕する女性の家の窓下で歌う。
écouteuses:聞き手。
échanger:取り交わす。
propos:言葉。
fade:退屈な、面白みのない。
ramures:枝。
chanteuses:歌い手。
Tircis:ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ(Jean de La Fontaine、1621~1695年)の寓話「ティルシスとアマラント(Tircis And Amaranth)」に出てくる羊飼いの名前。
Aminte:トルクァト・タッソー(Torquato Tasso, 1544~1595年)の田園詩「アミンタ(Aminta)」に出てくる羊飼いの名前から。
Clitandre:ピエール・コルネーユ(Pierre Corneille、1606~1684年)の1630年の喜劇「クリタンドレ(Clitandre)」の登場人物。
Damis:モリエール(Molière、1622~1673年)の戯曲「タルトゥフ(Tartuffe)」の登場人物の名前。
vestes:上着。
soie:絹。
robes:婦人服。
queues:(衣服の)垂れ。
molles:柔らかな。
ombres:陰。
Tourbillonnent:渦を巻く、目まぐるしい。
extase:恍惚、忘我。
grise:灰色の。
jaser:軽やかな音を出す。
frissons:震え。
brise:そよ風。

 



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hanmyo at 06:00|PermalinkComments(0)

2021年05月20日

Goodbye!

Falling leaf and fading tree,
Lines of white in a sullen sea,
Shadows rising on you and me;
Shadows rising on you and me;
The swallows are making them ready to fly,
Wheeling out on a windy sky.
Goodbye Summer! Goodbye! Goodbye!

Hush! a voice from the far away!
“Listen and learn,” it seems to say,
“All the tomorrows shall be as today.”
“All the tomorrows shall be as today.”
The cord is frayed, the cruse is dry,
The link must break, and the lamp must die --
Goodbye to Hope! Goodbye! Goodbye!

What are we waiting for? Oh, my heart!
Kiss me straight on the brows! and part again!
Again! my heart! my heart!
What are we waiting for, you and I?
A pleading look, a stifled cry.
Goodbye, forever! Goodbye, forever!
Goodbye! Goodbye! Goodbye!

「さよなら!」

落ちゆく葉、枯れゆく木
白い線の走る、陰鬱な海
影が落ちてくる、あなたと私に
影が落ちてくる、あなたと私に
燕が旅支度し、飛び立とうとしている
輪を描いて、風吹き荒ぶ空へ飛んでいく
さよなら夏よ! さよなら! さようなら!

静かに! 遥か彼方からの声
「よく聞いてごらん」とでも言うように
「明日からの日々は皆、今日と同じ」
「明日からの日々は皆、今日と同じ」
つなぐ紐はほつれ、溜める壺は乾き
結ぶ絆は絶たれ、照らすランプも消えて……
さよなら希望よ! さよなら! さようなら!

何を待つと言うのだろうか、ああ、思い人よ
私の額に口付けしておくれ、それでまた、お別れしよう
今ひとたび! 思い人よ! 思い人よ!
何を待つと言うのだろうか、あなたと私
乞い願う瞳、押し殺した涙
さよなら、永遠に! さよなら、永遠に!
さよなら! さよなら! さようなら!

 イタリアに生まれの地に英国に移住した作曲家フランチェスコ・パオロ・トスティ(Francesco Paolo Tosti、1846~1916年)が1880年に書いた楽曲です。スコットランドの小説家で詩人のジョージ・ホワイト=メルヴィル(George Whyte-Melville、1821~1878年)の詩に旋律を付けたもの。1885年にはフランチェスコ・リッツェリ(Francesco Rizzelli、生没年未詳)によりイタリア語に訳され、「さよなら(Addio)」のタイトルで歌われることもあります。
 録音ではビルボードのヒットチャートで、1905年にオーストラリアのソプラノ、ネリー・メルバ(Nellie Melba、1861〜February 1931年)のものが十位を、1914年にジョン・マコーマック(John McCormack、1884~1945年)のものが七位を記録しています。

fray:ほつれる。
cruse:蜂蜜などを入れる壺。
stifle:窒息する。

ネリー・メルバの歌唱
 

ジョン・マコーマックの歌唱
 



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hanmyo at 07:30|PermalinkComments(0)
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