2020年03月

2020年03月29日

Home! Sweet Home!

Mid pleasures and palaces though we may roam
Be it ever so humble, there’s no place like home
A charm from the sky seems to hallow us there
Which, seek through the world, is ne’er met with elsewhere

Home, home, sweet, sweet home
There’s no place like home, oh, there’s no place like home

I gaze on the moon as I tread the drear wild
And feel that my mother now thinks of her child
As she looks on that moon from our own cottage door
Thro’ the woodbine, whose fragrance shall cheer me no more

Home, home, sweet, sweet home
There’s no place like home, oh, there’s no place like home

An exile from home, splendour dazzles in vain
Oh, give me my lowly thatched cottage again
The birds singing gayly, that come at my call
Give me them and the peace of mind, dearer than all

Home, home, sweet, sweet home
There’s no place like home, oh, there’s no place like home

How sweet ’tis to sit ‘neath a fond father’s smile
And the caress of a mother to soothe and beguile
Let others delight mid new pleasures to roam
But give me, oh, give me, the pleasures of home

Home, home, sweet, sweet home
There’s no place like home, oh, there’s no place like home

To thee I’ll return, overburdened with care
The heart’s dearest solace will smile on me there
No more from that cottage again will I roam
Be it ever so humble, there’s no place like home

Home, home, sweet, sweet, home
There’s no place like home, oh, there’s no place like home.

「故郷! 懐かしき故郷よ!」

たとえ享楽や贅沢にふけることがあろうとも
慎ましくはあれど、故郷に勝る地は他にない

青空が誘いかけ、気分を高めてくれるところ

世界中をくまなく探しても、比肩する地はないのだから

故郷、故郷よ、懐かしき、懐かしき故郷よ
故郷に勝る地は他にない、ああ、故郷に勝る地はない

月を見上げて、わびしい荒れ野を歩けば
母のことを思う、きっと子の身の上を案じているだろうと
母も月を見ているのだろう、一緒に暮らした庵の戸口に佇んで
スイカズラの垣根ごしに、もう私はその香りに慰められることはないのだ

故郷、故郷よ、懐かしき、懐かしき故郷よ
故郷に勝る地は他にない、ああ、故郷に勝る地はない

故郷から離れて、きらびやかさに目を眩まされても虚しくて
ああ、望むのは、慎ましい茅葺きの庵に帰ることだけ
小鳥たちが陽気に歌い、私が呼びかければ訪ねてくれる
そうなれば、心は安らいで、他に何も望むものはない

故郷、故郷よ、懐かしき、懐かしき故郷よ
故郷に勝る地は他にない、ああ、故郷に勝る地はない

あれほど素敵な時はなかった、愛しい父の笑みに守られて
母の愛撫にあるいは癒されて、あるいは宥められて
他の者なら新たな享楽に喜びを見出すだろうが
私が望むのは、ああ、望むのは、故郷の喜びのみ

故郷、故郷よ、懐かしき、懐かしき故郷よ
故郷に勝る地は他にない、ああ、故郷に勝る地はない

私は彼の地に帰ろう、悩みに耐えきれなくなったら
心の一番の慰めとなるものが、そこでは微笑みかけてくれるから
もう二度と、あの庵から私が離れることはないだろう
慎ましく思うのは、故郷に勝る地は他にないと言うこと

故郷、故郷よ、懐かしき、懐かしき故郷よ
故郷に勝る地は他にない、ああ、故郷に勝る地はない

 アメリカの劇作家ジョン・ハワード・ペイン(John Howard Payne、1791~1852年)の脚本、英国の作曲家ヘンリー・ビショップ(Henry Bishop、1786~1855年)の作曲による1823年のオペラ「クラリ、ミラノの乙女(Clari, or the Maid of Milan)」の中で主人公クラリの歌うアリア。舞台ではジョンソン(Miss Johnson)と言う名の歌手が歌った記録が残っています。日本では1882年に里見義(さとみただし、1824~1886年)による歌詞が付けられ「埴生の宿」の題で長く親しまれています。また、英国の牧師デヴィッド・デナム(David Denham、1791~1848年)が新たに歌詞を付けたものと元の歌詞のものが賛美歌として教会で歌われています。
 録音ではビルボードのヒットチャートで、1902年のハリー・マクドナフ(Harry Macdonough、1871~1931年)のものが三位、1906年のリチャード・ホゼイ(Richard Jose、1862~1941年)のものが三位、1912年のアルマ・グラック(Alma Gluck、1884~1938年)のものが六位、1915年のアメリカのソプラノ歌手アリス・ニールセン(Alice Nielsen、1872~1943年)のものが一位を記録しています。リチャード・ホゼイはコーンウォール出身のアメリカのカウンターテナーで、Joseはコーンウォールの名前ではジョウズのようなroseと韻を踏むような発音となるものを、芸名としてエスニック風にホゼイと発音するように名乗っていました。
 「クラリ、ミラノの乙女」の出版台本に収められているのは一節目と三節目のみで、二節目は当時出版されたシートミュージックで書き加えられたもので、ペインの筆によるものでない可能性があります。ペイン没後の1880年に舞台で使われる際にカットされた部分も含む、挿絵入りの豪華本が出版されましたが、二節目に当たる部分は収録されていませんでした。四節目以降は豪華本に収められているものです。

there’s no place like home:我が家と同じように(素晴らしい)場所はない。十四世紀頃から使われている言い回し。
lowly thatched cottage:簡素な茅葺きの小屋。里見義の詩ではこれを「埴生の宿」(土塗り壁の質素な家)としたのだと思われます。また、「埴生の宿」の二番は夜景が歌われており、この歌の二節目の内容も踏まえて作詞されているようです。

ハリー・マクドナフ


リチャード・ホゼイ


アルマ・グラック



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hanmyo at 06:00|PermalinkComments(0)1902年 | Harry Macdonough

2020年03月23日

My Beautiful Irish Maid

We stand together you and i
Where we stood years ago
Beneath the same blue Irish sky
Our hearts with joy aglow
You promised then you would be mine
In all your charms arrayed
I’m here to claim you for my own
My pretty Irish maid

Oh my love, how i’ve waited
And longed for you dear
Time has not changed you
Your beauty will never fade
I’m here to claim, love
Your promise of long, long ago
You are to me, my own,
My beautiful Irish maid

I know the love you gave me then
Is just as fond and true
Those eyes of yours speak hope again
Sweet eyes of Irish blue
I know you’ll keep your promise, love
Tho’ stars above may fade
Thro’ storm and shine
I’ve come to you, my pretty Irish maid

Oh my love, how i’ve waited
And longed for you dear
Time has not changed you
Your beauty will never fade
I’m here to claim, love
Your promise of long, long ago
You are to me, my own,
My beautiful Irish maid

「我が麗しのアイルランドの乙女」

二人は並び立つ、あなたと私だけで
過ぎ去りし日々に二人でそうしたように
あの日と同じアイルランドの青空の下で
二人の心は喜びに輝く
あの日、あなたは私のものになると誓ってくれた
あなたは魅力に包まれていた
ここに来たのは、私だけのものになってくれることを求めてのこと
我が麗しのアイルランドの乙女よ

ああ、愛しき人よ、私はどれだけ待っただろう
どれだけ、あなたに恋い焦がれてきたのだろうか
時が過ぎても、あなたは変わらずにいて
その美しさが焦ることは、決してないのだろう
私がここに来たのは、求めているからだ
遠い、遠い昔に、あなたのしてくれた約束を
あなたが私のものに、私だけのものになることを
我が麗しのアイルランドの乙女よ

気付いていたよ、あの日、あなたの捧げてくれた愛は
ただ愛おしく、ただ一途であると
あなたの瞳は繰り返し希望を語る
アイルランドの真っ青な麗しい瞳は
分かっているよ、あなたは約束を守ってくれると
たとえ頭上の星々の光が陰ろうとも
嵐の時も晴れる時も
あなたのもとへ訪れよう、我が愛しきアイルランドの乙女よ

ああ、愛しき人よ、私はどれだけ待っただろう
どれだけ、あなたに恋い焦がれてきたのだろうか
時が過ぎても、あなたは変わらずにいて
その美しさが焦ることは、決してないのだろう
私がここに来たのは、求めているからだ
遠い、遠い昔に、あなたのしてくれた約束を
あなたが私のものに、私だけのものになることを
我が麗しのアイルランドの乙女よ

 チョーンシー・オルコット(Chauncey Olcott、1858~1932年)が母親の母国であるアイルランドを思って書いた楽曲。1894年のシートミュージックによると、自作の舞台作品「アイルランドの芸術家(The Irish artist)」の中で自ら歌っていたそうです。録音ではハリー・マクドナフ(Harry Macdonough、1871~1931年)のものが1902年にビルボードのヒットチャートで三位を記録しています。

 



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hanmyo at 05:00|PermalinkComments(0)1902年 | Harry Macdonough

2020年03月21日

Mister Dooley

There is a man that’s known to all,
a man of great renown,
A man who’s name is on the lips
of every one in town,
You read about him every day
you’ve heard his name no doubt.
And if he even sneezes
they will get an Extra out

For Mister Dooley,
For Mister Dooley
The greatest nab the country ever knew,
Quite diplomatic, And democratic,
is Mister Dooley ooley ooley oo.

Napoleon had an army
of a hundred thousand men,
He marched them up the hill
and then he marched them down again,
When they were up why they were
upon that I’ll bet a crown,
And though Napoleon marched them up
who was it called them down.

’Twas Mister Dooley,
’Twas Mister Dooley
He always knew a little parle vou,
With Bonipartee, A la Ma Carty
was Mister Dooley ooley ooley oo.

This country never can forget,
forget we never will,
The way the boys at San Juan
they went charging up the hill,
Though Teddy got the credit
of that awful bloody fray,
The hero who deserved it
and the man who saved the day.

’Twas Mister Dooley,
’Twas Mister Dooley,
Like a locomotive up the hill he flew,
Who drove the Spaniards,
Back to the Tanyards,
’twas Mister Dooley ooley ooley oo.

「ミスター・ドゥーリー」

この男こそ、誰もが知るところ
誉れ高き男なんだ
この男の名は、いつも話題となる
町の誰も彼もが口にするんだ
新聞でも毎日、その話題ばかりで
間違いなく、その名を耳にしたことがあるだろう
もし、あいつがくしゃみなんかしたら
きっと号外が出るだろうね

それがミスター・ドゥーリー
そうれがミスター・ドゥーリー
この国で、かつてないくらい偉大な傑物さ
極めて如才なくて、そのくせ庶民的で
それがミスター・ドゥーリー、ウーリ、ウーリー、ウー

ナポレオンの軍隊には
十万人もの兵士がいてね
みんなを丘の上まで登らせらのに
今度は下まで降りさせたのさ
せっかく丘の上に登ったのに、どうしてみんな
こんなことになったかって、賭けてもいいよ
登らせたのはナポレオンだろうけれど
呼び戻して降りて来させたのはね

それはミスター・ドゥーリー
それはミスター・ドゥーリー
あいつはいつだって言うべきことを心得てるんだ
ボニパルテにね、あらまカルテって
それはミスター・ドゥーリー、ウーリ、ウーリー、ウー

この国は忘れることがないだろう
誰もがきっと忘れないんだ
サン・フアンで戦った若者たちのことを
みんなで丘を攻め上っていったんだ
指揮を摂っていたのはテディだったけどね
この血で血を洗う争いでは
英雄の名に値するのは
この日を制したのはやっぱりね

それはミスター・ドゥーリー
それはミスター・ドゥーリー
蒸気機関みたいに丘を飛び回って
スペイン野郎どもを追い立てて
皮なめし小屋みたいな奴らの土地まで追い返したのさ
やっぱりミスター・ドゥーリー、ウーリ、ウーリー、ウー

 ウィリアム・ジェローム(William Jerome、1865~1932年)とジーン・シュウォーツ(Jean Schwartz、1878~1956年)のコンビによる楽曲で、1902年のミュージカル「中国風新婚旅行(A Chinese Honeymoon)」の挿入歌隣世に知られるようになりました。「中国風新婚旅行」の舞台で、最初にこの歌を披露したのはアメリカの俳優トーマス・Q・シーブルック(Thomas Q. Seabrooke、1860~1913年)です。この歌は大変人気となり、同年の別のミュージカル「オズの魔法使い(The Wizard of Oz)」にも取り入れられ、魔法使いを演じたジョン・スラーヴィン(John Slavin、生年未詳~1940年)が歌っています。録音では1902年にダン・W・クイン(Dan W. Quinn、1860~1938年)の残したものがビルボードのヒットチャートで二位を記録しています。

nab:普通は「盗む、取る」の意の動詞、あるいは「警官」の意味の名詞ですが、もう使われていない表現で「頭」の意味があります。
parle:言葉の意味のフランス語。
With Bonipartee, A la Ma Carty:前半はナポレオンの名前のボナパルト(Bonaparte)をふざけて間違えたもので、後半はおそらく「アラカルト(à la carte)」を歌の語呂に合わせたもの。
San Juan:1898年の米西戦争の激戦地。現在はキューバの一地方。そこで指揮を執っていたのがセオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt、1858~1919年)。この歌の流行した当時はアメリカの大統領です。
Teddy:ルーズベルトの愛称。




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hanmyo at 22:54|PermalinkComments(0)1902年 | Dan W. Quinn

2020年03月15日

Under the Deodar

Over the mountain passes,
Under the peaks of snow,
Forest and lawn, close to the dawn,
That is the land I know.
Meadows of waving grasses,
Wonderful woods above,
There would I be, over the sea,
There with the one I love.
Under the deodar,
Up in the hills afar,
Hearts may be lost, fates may be crossed,
Under the deodar.

How I could wish to wander,
Out in the forest dim,
Somewhere unknown, almost alone,
All by myself with him!
Then, when the sun set yonder,
Red on the ridge of pine,
“Dear,” I would say, “take me today;
This is your realm and mine!”
Under the deodar,
Lit by the evening star,
How could I rest, held to his breast,
Under the deodar,
The deodar, afar.

「ヒマラヤスギの下で」

山道をはるか進み
雪の頂の下に
森と草原が広がり、朝日を待ち望む
その地こそ我が親しく思う土地
波打つ草の広がる芝に
見上げれば見事に茂る森
あの地にいられたらと思う、はるか海を越えて
ただ一人の愛する人と共に暮らしたい
ヒマラヤスギの下で
はるかなる丘の彼方で
二人の心は奪われ、運命もより合わさる
ヒマラヤスギの下で

どれだけ願ったことか、彼の地を歩むことを
森を包む霞を抜けて
どこか知らないところを、ほとんど人気ないところを
いるのは私と、あの人だけで!
それから、太陽が彼方に沈むと
山の稜線が赤く色づいて
私は言いましょう「愛しき人よ、今日はあなたのものに
ここは、あなたの王国で、私のものでもあるのだから!」
ヒマラヤスギの下で
宵の星々に照らされて
どうしたら安らげましょう、あの人の胸に抱かれて
ヒマラヤスギの下で
ヒマラヤスギの、あのはるかな地の

 英国の劇作家ジェイムズ・T・タナー(James T. Tanner、1858~1915年)が脚本を書き、作詞家エイドリアン・ロス(Adrian Ross、1859~1933年)と作曲家ライオネル・モンクトン(Lionel Monckton、1861~1924年)が楽曲を担当した、1902年のミュージカル「田舎娘(A Country Girl)」の中の一曲。舞台では現在のパンジャブ州にあるボンの公女メヘラネ(Mehelaneh)を演じたマギー・メイ(Maggie May)が歌いました。ジョン・ピール(John Peel、1939~2004年)の「ピレニアム(Peelennium)」ではライオネル・モンクトンの名義で1902年の楽曲に選曲されています。

 



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hanmyo at 18:25|PermalinkComments(0)1902年 | Lionel Monckton

2020年03月08日

Polka des trottins

Gais trottins
Le matin
Quand d’un pied mutin
Avec votre bagage
Vous courez à l’ouvrage
Des flatteurs
Amateurs
De votre candeur
Vous font du badinage
D’un p’tit air séducteur

Gentils trottins, ouvrez les yeux
Prenez bien garde aux vieux messieurs
C’est pas pour rien qu’ils r’luquent
Le tour de votre nuque
Pauvres enfants, j’ vous l’ dis tout bas :
Gardez-vous bien d’ faire un faux pas
Quand elle est envolée, la vertu ne r’vient pas

En chemin
Dans leurs mains
D’un p’tit air gamin
Pour bien vous faire comprendre
Ils vous prennent d’un air tendre
Vot’ carton
Vot’ manchon
Tout vot’ baluchon
Mais c’qu’ils voudraient vous prendre
C’est surtout les nichons

Gentils trottins, ouvrez les yeux
Prenez bien garde aux vieux messieurs
Ils ont du poil aux pattes
Les pauvres petites chattes !
Ils sont ferrés sur le bagout
Mais sincèrement ils s’montent le coup
Et quand il faut parler ils n’disent rien du tout

Ils vous font
Ces bouffons
Des discours profonds
Vous promettent le mariage
Un joli p’tit voyage
Des bijoux
Des joujoux
Et de jolis d’ssous
Mais après l’ déballage [variante : Hélas, pour tout potage]
Ils vous donnent 40 sous

Gentils trottins, ouvrez les yeux
Prenez bien garde aux vieux messieurs
Écoutez les harangues
Et tirez-leur la langue
Faites-vous payer
Un bon dîner
Des p’tits cadeaux sans vous gêner
Quand ils vous d’mandent le reste, envoyez-les prom’ner

Tous ces vieux
Malicieux
Sont très pernicieux
La chose est bien palpable
Ce sont de grands coupables
En prenant
Galamment
Des airs triomphants
Ils n’ sont même pas capables
De vous faire un enfant [variante : De faire des enfants]

Gentils trottins, ouvrez les yeux
Prenez bien garde aux vieux messieurs
Pour vous chanter victoire [variante : Quand ils chantent victoire]
Ils n’ont qu’une vieille histoire [variante : Ce n’est qu’une vieille histoire]
Ils n’ vous donn’ront jamais l’ frisson [variante : Ils ont beau dire toutes leurs façons]
C’est une vieille cloche qui n’a plus d’ son
Pour connaître l’amour, prenez un beau garçon

Faudra venir me chercher

「ヨチヨチ歩きのポルカ」

陽気にヨチヨチ
朝が来たよ
おぼつかない足取りだね
もうカバンを持って
仕事に行かなきゃないのに
おねだりする目つきで
じっと見つめたりして
そんな無邪気な眼差しで
からかってるのかな?
誘ってるふりなんかしてさ

ヨチヨチ歩きのかわいい子、お目目を開けて
お爺ちゃんに優しくしておくれ
見るものがないなんて言わないでおくれ
頭を巡らせて見てごらんよ
かわいそうに、内緒で教えてあげるよ
気をつけるんだよ、間違わないようにね
一度、去って行ったら、無邪気さは帰ってこないんだ

歩いてくるよ
お手手に一杯
あどけない仕草で
何か教えてくれようとしてるんだね
愛くるしい表情で奪っていくんだ
箱でも
袖でも
紙束でもね
でも本当に欲しがってるものはね
何と言ってもおっぱいなんだよ

ヨチヨチ歩きのかわいい子、お目目を開けて
お爺ちゃんに優しくしておくれ
こいつは足にも毛の生えた
おチビのかわいい子猫ちゃん!
忍び足ですり寄って来て
でも、いざ側に来たら
話しかけても答えちゃくれないんだ

この娘ったら
焦らしてくるんだから
真面目な話
結婚の約束までして
楽しい小旅行
宝石に
オモチャに
あとは秘密のお楽しみ
けどフタを開けたら[異文:残念、スープを飲み終えたら]
お代は四十スーだなんて言うんだからね

ヨチヨチ歩きのかわいい子、お目目を開けて
お爺ちゃんに優しくしておくれ
よく話を聞いて
アカンベーすればいい
これがお代だよって
おいしい夕食を奢ったんだからさ
かわいい娘だからって好き勝手させちゃいけない
それでもゴチャゴチャ言ってくるなら、通りに放り出せばいいのさ

全くもって年寄りってのは
ひどいもので
害にしかならないんだから
事は明らかで
絶対に有罪確定
奪ってくんだ
慇懃無礼に
勝ち誇った気分で
そのくせ全然ダメなんだよ
子供を授けたりするのはさ[異文:子作りなんかはさ]

ヨチヨチ歩きのかわいい子、お目目を開けて
お爺ちゃんに優しくしておくれ
勝利の歌を歌うのに[異文:勝利を歌い上げる時には]
昔自慢しかできなくて[異文:昔自慢だけなんだ]
ドキドキなんてさせてくれない[異文:同じ話の繰り返し]
古くなった鐘は、もう鳴らないんだよ
恋がしたけりゃ、若い男を捕まえないとね

僕を起こしてくれないかな

 「おいで、お嬢ちゃん!(Viens, Poupoule !)」(http://yogaku-manyoshu.blog.jp/archives/5475857.html)の歌詞に出てくる歌で、こちらもアンリ・クリスティネ(Henri Christiné、1867~1941年)が曲を書き、アレクサンドル・トレビッチ(Alexandre Trébitsch、1862~1937年)が歌詞を付け、フェリックス・マヨル(Félix Mayol、1872~1941年)が歌っています。1905年には、マヨルの歌う映像に合わせて蓄音機の音声を流す形で、現在のPVのようなフォノシネ(Phonoscène)が作られています。

 



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hanmyo at 18:46|PermalinkComments(0)1902年 | Félix Mayol
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