2019年11月

2019年11月30日

The Holy City

Last night I lay a-sleeping
There came a dream so fair,
I stood in old Jerusalem
Beside the temple there.

I heard the children singing,
And ever as they sang
Methought the voice of angels
From heaven in answer rang,

Methought the voice of angels
From heaven in answer rang.

Jerusalem! Jerusalem!
Lift up your gates and sing,
Hosanna in the highest!
Hosanna to your King!

Jerusalem! Jerusalem!
Sing for the night is o'er!
Hosanna in the highest!
Hosanna forevermore!

Hosanna in the highest!
Hosanna forevermore!

「聖都」

昨夜のこと、私は横たわり眠っていると
そこでとても素晴らしい夢を見ました
気づくと私は古の都エルサレムにいました
町の神殿の傍らにいたのです

子供らの歌声が聞こえてきました
その歌う声に耳を傾けていると
天使の歌声のように思われてきました
祈りに応える天から響く声のように

天使の歌声のように思われてきました
祈りに応える天から響く声のように

エルサレム! エルサレムよ!
その門を開き、歌え
ホザンナの声を高らかに
ホザンナの声を主の元に!

エルサレム! エルサレムよ!
夜明けを称えて歌え!
ホザンナの声を高らかに
ホザンナの声を主の元に!

ホザンナの声を高らかに
ホザンナの声を主の元に!

 英国の作詞家フレデリック・ウェザリー(Frederic Weatherly、1848~1929年)の書いた詩に、歌手のマイケル・メイブリック(Michael Maybrick、1841~1913年)がスティーヴン・アダムズ(Stephen Adams)の変名で曲を付けた賛美歌です。1892年に作られたもので、英語圏では英語で書かれた賛美歌の中で最もポピュラーなものとなっています。日本の教会では「聖なる都」「永遠の神の都」の題で歌われているようです。

a-sleeping:ここのa-は語調を整えるために存在する意味のないaです。

 1900年にハリー・マクドナフ(Harry Macdonough、1871~1931年)が録音したことで、この歌は世界で初めてレコード化された賛美歌となっています。




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hanmyo at 17:37|PermalinkComments(0)1900年 | Harry Macdonough

I Want to Be a Military Man

If you stroll down Piccadilly in the middle of the day,
And a very smart gentleman in khaki comes along,
You may think he’s Lord Tomboddy, or Sir Algy, Poppinjay,
But I think it’s very likely you’ll be wrong.

I want to be a military man

For you really must confess that in the latest martial dress,
The classes and the masses look as like they can,
While to gaze at him you tarry, so one says Hello theres Harry,
Gone and dressed himself in Khaki like a military man.

I want to join the military-tary,
Ive got no chance with Jane, or Flo, or Mary,
I want to hear the martial rat-a-plan,
I want to be a military man,
I want to be a military man.

I want to join the military-tary,
Ive got no chance with Jane, or Flo, or Mary,
I want to hear the martial rat-a-plan,
I want to be a military man,
I want to be a military man.

I want to join the military-tary,
Ive got no chance with Jane, or Flo, or Mary,
I want to hear the martial rat-a-plan,
I want to be a military man,
I want to be a military man.

「兵隊さんになりたいな」

ピカデリーの目抜き通りを、真昼間歩いてる時に
颯爽とカーキ色の服に身を包んだ紳士が歩いてきたら
あの人はダレヤラ卿だろうか、アルジ・ナントカ閣下だろうかと思うだろ
けど、そんなの全然、間違っているんだよ

僕もあんな兵隊さんになりたいなあ

認めずにはいられないだろ、最近の軍服と言ったら
質でも仕立てでも、最高にかっこいいんだよ
じっと見てたら、何と、一人が挨拶してきたんだよ、そいつはハリーだったんだ
カーキ色の軍服に身を包んでて、立派な兵隊さんを気取ってるんだ

僕も入りたいなあ、軍隊に、隊に
ジェーンやフローやメアリーにかまけてる暇なんてないんだ
軍楽隊の太鼓やラッパを聞いていたいんだよ
僕も兵隊さんになりたいな
僕もあんな兵隊さんになりたいなあ

僕も入りたいなあ、軍隊に、隊に
ジェーンやフローやメアリーにかまけてる暇なんてないんだ
軍楽隊の太鼓やラッパを聞いていたいんだよ
僕も兵隊さんになりたいな
僕もあんな兵隊さんになりたいなあ

僕も入りたいなあ、軍隊に、隊に
ジェーンやフローやメアリーにかまけてる暇なんてないんだ
軍楽隊の太鼓やラッパを聞いていたいんだよ
僕も兵隊さんになりたいな
僕もあんな兵隊さんになりたいなあ

 アイルランド生まれの劇作家オーウェン・ホール(Owen Hall、1853~1907年)が脚本を書いた1899年のミュージカル「フロロドーラ(Florodora)」の挿入歌です。作詞はエドワード・ボイド=ジョーンズ(Edward Boyd-Jones)と英国の音楽家ポール・ルーベンズ(Paul Rubens、1875~1917年)で、作曲はレスリー・ステュアート(Leslie Stuart、1863~1928年)。「フロロドーラ」は英国で成功を収めただけではなく、米国でも繰り返しリバイバル上演されて、二十世紀初頭のブロードウェイで最もヒットしたミュージカルの一つとなりました。
 エドワード七世が即位したのは1901年で「フロロドーラ」初演よりも後ですが、ビクトリア朝で人気を博していたギルバート・アンド・サリヴァン(Gilbert and Sullivan)のコミックオペラが衰退し、代わりに現れた陽気で楽天的な喜歌劇は、まとめてエドワード朝のミュージカルコメディ(Edwardian musical comedy)と呼ばれています。1920年代にアメリカのミュージカルが花開くまでは、この分野で絶大な人気を博するものでした。
 「フロロドーラ」の中の楽曲を初めてレコード化したのはルイス・ブラッドフィールド(Louis Bradfield、1866~1919年)でした。ブラッドフィールドはエドワード朝のミュージカルコメディで活躍した英国の俳優です。英国のディスクジョッキー、ジョン・ピール(John Peel、1939~2004年)が選曲した「ピレニアム(
Peelennium)」では、その功績を評価して記念すべき一曲目に選ばれています。


Piccadilly:ロンドンの繁華街にある大通り。
khaki:カーキ色、土色。軍服の色です。




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hanmyo at 13:21|PermalinkComments(0)1900年 | Louis Bradfield

2019年11月28日

When You Were Sweet Sixteen

When first I saw the love-light in your eye,
And heard thy voice, like sweetest melody,
Speak words of love to my enraptur’d soul,
The world had naught but joy in store for me.
E’en though we’re drifting down life’s stream apart,
Your face I still can see in dream’s domain;
I know that it would ease my breaking heart.
To hold you in my arms just once again.

I love you as I never lov’d before,
Since first I met you on the village green.
Come to me, or my dream of love is o’er.
I love you as I lov’d you as
When you were sweet, when you were sweet sixteen.

Last night I dreamt I held your hand in mine,
And once again you were my happy bride.
I kiss’d you as I did in Auld Lang Syne,
As to the church we wander’d side by side.
The love I bear for you can never die;
Without you, I had rather not be born;
And, even tho’ we never meet again,
I love you as the sunshine loves the morn.

I love you as I never lov’d before,
Since first I met you on the village green.
Come to me, or my dream of love is o’er.
I love you as I lov’d you as
When you were sweet, when you were sweet sixteen.

「花咲く十六の頃」 

君の瞳に恋の炎が宿るのに、僕が初めて気付いた時に
まるで至福の音楽のような君の声が
愛の言葉を告げて、僕の心を魅了した時に
僕の目の前に広がる世界には、喜びだけしか見えなかった
たとえ人生の川の流れで、二人が離れ離れになったとしても
夢の王国でならば君の顔を見ることができるんだ
きっと僕の破れた心は癒されるのだろう
今ひとたび、君をこの腕に抱きしめられたなら

今まで愛したことがないくらい、君のことを愛しているんだ
あの村の草原で、君と初めて出会った時から
そばに来ておくれ、でないと愛の夢が終わってしまう
あの頃愛したのと同じくらい、君のことを愛してるんだ
君が花咲く、花咲く十六歳の頃と同じくらいに

昨日の夜、君の手を取る夢を見たんだ
君をもう一度、幸せな花嫁に迎える夢をね
君に口づけしたんだよ、「久しき昔」の歌のように
手に手を取って、二人で教会まで出かけてね
君への想いは決してついえることはないんだよ
君がいないのなら、僕は生まれてこない方がましなんだ
たとえ、僕らが二度と再び会えないようなことになっても
陽の光が朝の時を愛するように、君のことを思い続けるよ

今まで愛したことがないくらい、君のことを愛しているんだ
あの村の草原で、君と初めて出会った時から
そばに来ておくれ、でないと愛の夢が終わってしまう
あの頃愛したのと同じくらい、君のことを愛してるんだ
君が花咲く、花咲く十六歳の頃と同じくらいに

 アメリカの作曲家でヴォードヴィルの芸人でもあったジェイムズ・ソーントン(James Thornton、1861~1938年)が妻君で歌手のボニー・ソーントン(Bonnie Thornton)に「今も愛してるの?」と聞かれたことがきっかけで、1898年に書いた歌です。ボニーが舞台で歌ったことで流行歌となり、その後、数多くの歌手によって歌い継がれていきました。ジェイムズ・ソーントンはアイルランドもしくは英国に生を受けましたが1869年にアメリカに移住しヴォードヴィルの芸人として活躍する一方、作詞作曲家として数多くの流行歌を残しています。
 幼馴染みが夫婦となって長い月日が過ぎてしまったけれど、それでも初めて出会った頃と同じように変わらず愛し続けている、と歌うラブソングです。
 1900年にはレコード化され、ジョージ・J・ガスキン(George J. Gaskin、1863~1920年)のものとジェリ・マホニー(Jere Mahoney)のものがビルボードのヒットチャートで一位を記録しています。翌1901年にはウェールズ出身のJ・W・マイアーズ(J. W. Myers、1864頃~1919?年頃)とハリー・マクドナフ(Harry Macdonough、1871~1931年)のものが三位を記録しています。また、この曲も同年のヒット曲「それゆえに(Because)」と同様に、ペリー・コモ(Perry Como、1912~2001年)が1947年にレコード化していて、ビルボードのヒットチャートでは二位のヒットとなり、同年にはミルズ・ブラザーズ(The Mills Brothers)のものもヒットし、ディック・ジャーゲンズ(Dick Jurgens、1910~1995年)のオーケストラも同曲を取り上げています。1948年にアル・ジョルソン(Al Jolson、1886~1950年)の歌ったものも知られていて、比較的最近では1981年にはアイルランドのフォークロックバンド、フューレイズ(The Fureys)の演奏したものがチャートインしています。

in store for 〇〇:(〇〇を)待ち構えている。未来の予想です。
sweet sixteen:アメリカで女子が成人を迎える年齢で、一番輝いている年のようなニュアンスがあります。
Auld Lang Syne:所謂「蛍の光」の歌ですが、ここでは原詩の三節目の歌詞「We twa hae run about the braes,/and pou'd the gowans fine;/But we've wander'd mony a weary fit,/sin' auld lang syne.」(僕ら二人は坂を駆け下りて/清らなヒナギクを積んだ/僕らはよろめきながらも歩き続けた/それから長い時を)の内容に触れていると考えられます。

YouTubeには
ハリー・マクドナフの歌唱のものがありました。


フューレイズはフォークソングのようなアレンジで演奏しています。



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hanmyo at 22:41|PermalinkComments(0)1900年 | George J. Gaskin

2019年11月27日

A Bird in a Gilded Cage

The ballroom was filled with fashion's throng,
It shone with a thousand lights,
And there was a woman who passed along,
The fairest of all the sights,
A girl to her lover then softly sighed,
There's riches at her command;
But she married for wealth, not for love, he cried,
Though she lives in a mansion grand.

She's only a bird in a gilded cage,
A beautiful sight to see,
You may think she's happy and free from care,
She's not, though she seems to be,
'Tis sad when you think of her wasted life,
For youth cannot mate with age,
And her beauty was sold,
For an old man's gold,
She's a bird in a gilded cage.

I stood in a churchyard just at eve',
When sunset adorned the west,
And looked at the people who'd come to grieve,
For loved ones now laid at rest,
A tall marble monument marked the grave,
Of one who'd been fashion's queen,
And I thought she is happier here at rest,
Than to have people say when seen,

She's only a bird in a gilded cage,
A beautiful sight to see,
You may think she's happy and free from care,
She's not, though she seems to be,
'Tis sad when you think of her wasted life,
For youth cannot mate with age,
And her beauty was sold,
For an old man's gold,
She's a bird in a gilded cage.

「金の籠の小鳥」 

舞踏室には社交界の名士たちが溢れて
一千の明かりに照らされ輝いていた
その中でも、そぞろ歩きする婦人の一人が
美しさを極めて、一際、人目を引いていた
その人は愛する人を見かけて、そっとため息をついた
溢れる富を、意のままにすることができたのに
あの人は愛を捨てて、富に嫁いだのだ、と恋人は嘆いた
たとえ瀟洒な大邸宅に住んでいようと何なのだと

あの人は金の籠に閉じ込められたただの小鳥
美しく人目を引く飾りもの
幸せで悩みもないと、人は思うだろうけれど
本当はそうじゃない、そう見えるかもしれないけど
虚しく過ごした人生を思えば悲しくなる
若さとは年月と相容れないものだから
あの人の美しさは買われたのだ
大金で年老いた男に
あの人は金の籠に閉じ込められた小鳥

今宵、私は教会の敷地に立っていた
西空を日没が彩る頃に
弔意を示そうと集う人々を眺めていた
皆の愛した人は安らかに眠る
背の高い大理石の碑が、ここを墓所だと告げていた
かつて社交界の花形であったあの人の
だけど、ここで眠る方が幸せではないかと思えた
見る人に、こう噂され続けるよりは

あの人は金の籠に閉じ込められたただの小鳥
美しく人目を引く飾りもの
幸せで悩みもないと、人は思うだろうけれど
本当はそうじゃない、そう見えるかもしれないけど
虚しく過ごした人生を思えば悲しくなる
若さとは年月と相容れないものだから
あの人の美しさは買われたのだ
大金で年老いた男に
あの人は金の籠に閉じ込められた小鳥

 英国出身の作詞家アーサー・J・ラム(Arthur J. Lamb、1870~1928年)が自作の詩を、アメリカの作曲家ハリー・ヴォン・ティルザー(Harry Von Tilzer、1872~1946年)のところに持ち込み、ティルザーが曲を付けたもの。裕福な暮らしのために愛する男を捨てた女性の悲哀を歌ったもので、当時、譜面が百万部を越すほどの大ヒットとなりました。曲を作るに当たりティルザーは、原詩では愛人であった主人公の立場を婚姻に書き直すよう求めたそうです。
 1900年にはビルボードのヒットチャートでエジソン・カルテットのオリジナルメンバーだったジェリ・マホニー(Jere Mahoney)の歌ったものとアメリカの歌手スティーヴ・ポーター(Steve Porter、1864~1946年)のものが一位になっている他、ジェリ・マホニーと入れ替わりにエジソン・カルテットに加わったハリー・マクドナフ(Harry Macdonough、1871~1931年)のものが二位を記録し、英国ラジオ局BBCのディスクジョッキー、ジョン・ピール(John Peel、1939~2004年)が1900年から2000年のそれぞれの年を代表する曲を紹介した音楽番組「ピレニアム(Peelennium)」では1903年にハミルトン・ヒル(Hamilton Hill)の歌ったものを選択しています。
 所謂、お涙頂戴もののセンチメンタルなバラードで、作曲したヴォン・ティルザーは大衆酒場のピアノで、この曲のメロディーを弾いている時に、客の女たちが泣きそうになっているのを見て、この曲のヒットを確信したそうです。

fashion's throng:社交界の人々、身分の高い人の集まりです。
gilded:金メッキの、金ピカの。

Jere Mahoneyの歌唱



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hanmyo at 22:17|PermalinkComments(0)1900年 | Jere Mahoney

2019年11月26日

When Chloe Sings a Song

Dar is music in de banjo when it sounds,
Dar is music in de whistle ob de breeze,
Dar is music fo’ creation on de whole ob dis plantation,
Dar is music in de buzzin’ ob de bees.
But de sweetes music ever dat I hear,
Is de sound de soft breeze to me gently brings,
In tones so clear to my listenin’ ear,
When my Chloe, my sweet Chloe sings.

Do yo’ hear dem tones a-comin’
Wid de ole banjo a strummin’
Why de bees dey stop dere hummin’
When dey hears ’em come a long,
O’er de whole o’dis plantation,
Its de cause ob a sensation,
Sweet es music in creation,
Is when Chloe sings a song.

Dar is music in de tambourine and bones,
Dar is music in de fiddle and de bow,
Dar is lively music eber when the steamer down de riber,
Comes a long an’ lets her loudes’ whistle blows.
But de darkies come around fo’ miles an’ miles,
It is wonderfull de crowd it always brings
Wif ev’ry chile’s face wreathed in smiles,
When my Chloe, my sweet Chloe sings.

Do yo’ hear dem tones a-comin’
Wid de ole banjo a strummin’
Why de bees dey stop dere hummin’
When dey hears ’em come a long,
O’er de whole o’dis plantation,
Its de cause ob a sensation,
Sweet es music in creation,
Is when Chloe sings a song.

Dar is music when de red birds chirp and sing
And de oriole is whistling on his nest
Dar is music in de tingle ob de rain upon de shingle
When in de cabin all have gone to rest
But dar's not a bird in air or in de trees
Dar is not a bird dat flies around on wings
Wif tones as sweet as dem you meet
When my Chloe, dat gal Chloe sings

Do yo’ hear dem tones a-comin’
Wid de ole banjo a strummin’
Why de bees dey stop dere hummin’
When dey hears ’em come a long,
O’er de whole o’dis plantation,
Its de cause ob a sensation,
Sweet es music in creation,
Is when Chloe sings a song.

「クロエが歌い出すと」
 
バンジョーを鳴らせば、そいつは音楽だし

そよ風の口笛の音だって音楽なんだ
このプランテーション全体で生きてるものみんなに音楽があるし
ミツバチの羽音だって音楽なんだよ
けど、今まで俺が聞いた中で一番素敵な音楽は
そよ風に乗って、軽やかにやってきた音なんだ
俺の耳にはっきり聞こえてくるんだよ
俺のクロエが、かわいいクロエが歌い出すとね

歌声が聞こえてくるかい?
バンジョーをかき鳴らす音に乗ってさ
どうしてミツバチがブンブン言うのをやめるのかって?
あいつらにも歌声が聞こえてるからさ
このプランテーション中に響いてるんだ
それで楽しいことが始まるんだよ
今まで生まれた中で一番素敵な音楽がね
クロエが歌い出すとね

タンブリンとトロンボーンが鳴れば音楽だし
フィドルを弓で鳴らせば音楽なんだ
蒸気船が河を下ってくると、今までで一番に陽気な歌が
聞こえてきて、それから元気に口笛を吹いているんだ
それから黒ンボたちが何マイルも何マイルも歩いてきて
いつだって大盛況の集まりになるんだよ
どの子供の顔も笑顔で飾られててさ
俺のクロエが、かわいいクロエが歌い出すとね

歌声が聞こえてくるかい?
バンジョーをかき鳴らす音に乗ってさ
どうしてミツバチがブンブン言うのをやめるのかって?
あいつらにも歌声が聞こえてるからさ
このプランテーション中に響いてるんだ
それで楽しいことが始まるんだよ
今まで生まれた中で一番素敵な音楽がね
クロエが歌い出すとね

ショウジョウコウカンチョウがピーチク歌えば音楽だし
ムクドリモドキが巣の中でさえずるのだってね
屋根板を転がり落ちる雨だれの音も音楽だよ
小屋の中でみんなが休んでる時にはね
けど、空や林にいる鳥なんかじゃないんだよ
翼で空を飛び回っている鳥なんかじゃないんだよ
今まで聞いたことがないくらい、素敵な声をしてるのは
俺のクロエが、あの娘、クロエが歌い出すとね

歌声が聞こえてくるかい?
バンジョーをかき鳴らす音に乗ってさ
どうしてミツバチがブンブン言うのをやめるのかって?
あいつらにも歌声が聞こえてるからさ
このプランテーション中に響いてるんだ
それで楽しいことが始まるんだよ
今まで生まれた中で一番素敵な音楽がね
クロエが歌い出すとね

 ジョン・ストロンバーグ(John Stromberg、1853~1902年)とアメリカの作詞家で作曲も行っていたハリー・B・スミス(1860~1936年)による楽曲で、1899年のミュージカル「かざぐるま(Whirl-i-gig)」の挿入歌。作詞のハリー・B・スミスは最初期のレビュー「ジーグフェルド・フォリーズ(Ziegfeld Follies)」の台本と歌詞を手がけたことで知られています。舞台では当時アメリカを代表する女優で歌手でもあったリリアン・ラッセル(Lillian Russell、1860/1861~1922年)が歌いました。1900年にはアイルランド生まれのアメリカの歌手ジョージ・J・ガスキン(George J. Gaskin、1863~1920年)の録音したものがビルボードのヒットチャートで一位を記録しています。
 この曲も当時の他の流行歌同様、ミンストレル風の黒人英語を模した英語で書かれています。
plantation:プランテーション。広大な土地に大量の資本を投入して、綿花など単一の作物を大量に生産する農園のこと。1863年の奴隷解放宣言によって、アメリカで奴隷制度が廃止されるまでは、黒人奴隷が主な働き手でした。
bones:trombone、トロンボーンのこと。
darkies:肌の色が黒い、黒人のこと。
chile:childrenの視覚方言。
red bird:ショウジョウコウカンチョウ。北米に生息する真っ赤な羽の鳥です。
oriole:元はコウライウグイスを指す言葉ですが、アメリカではムクドリモドキ。黄色と黒の二色の羽の鳥です。
 歌詞の中にはプランテーション周囲の自然の情景や、鳥のさえずり、ミツバチの羽音、楽団の音楽など、視覚的聴覚的なイメージが豊かに盛り込まれています。



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hanmyo at 23:17|PermalinkComments(0)1900年 | George J. Gaskin
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